
さんざん雨に祟られながらの2泊3日で高知に行ってきた。今回の主目的は、
(1)高知の魚介類を高知の地酒で流し込む。
(2)吉野川流域の景観を観光 の2点である。
しかし「高知に行ってきた」と言っても、吉野川は主に徳島県を流れる川だし、2泊目の宿も徳島の山奥の温泉。
また結果的に香川県でも少しうろうろしたということで、2府6県を920kmに渡る、移動範囲の大きい旅となった。
たくさん撮ってきたぶん、写真が多い記録となってしまったが、写真枚数に反比例して薄っぺらい内容に目をつぶって頂ければ、ストレスを感じずに済むと思う。
朝から雨。連れと合流して明石海峡大橋経由で淡路島を縦断し、徳島県上陸後徳島駅に辿り着いたのが午後0時ごろ。

駅周辺をぷらぷら歩いて昼飯どころを探し、結局ラーメンを食うことになった。

「徳島ラーメン」という分野が成立しているらしく、確かに駅周辺はラーメン店が多かった。
「麺王」という店に入る。昼飯時ということで、そこそこ繁盛していたので写真は撮れなかった。
先ず瓶ビールをオーダーし、四国上陸を祝して乾杯。麺は、”ラーメン”というよりは”中華そば”という感じで、まあ庶民っぽくて嫌いじゃない。特徴はたぶんスープなんだと思う。
味噌ラーメンっぽい色なんだが、味はけっこう濃厚なとんこつ系。生卵を落とすのが地元流のようで、テーブルの隅にボールに入った生卵が置かれていたが、個人的にラーメンやカレーに生卵を落とすのは好きじゃないので、にんにく唐辛子をどっさり入れてズルズル食す。
2、3店の徳島ラーメンを食べ比べてみたかったんだが、結局食べたのはこの店だけ。
それに、食べ比べたとしても、ラーメンの価値(判断基準)ってよく判らないし。
そこそこ胃も満たされて店を出て、駅周辺を少しぶらぶらし、再び車に乗り込む。

雨足が強くなる中を、山越えのショートカットとなる国道105号へ車を進めるうちに、とうとう高知県に進入。高知に来るのは3回目くらいだと思うが、「国民休暇県」をうたっているということを、初めて知った。
高知中心部へ近づくうち、「アンパンマンミュージアム」というのを発見。

あちこち旅行に行って、土産物屋的な店に入ることもよくあるが、そういう店の子供用のコーナーには、まあどこの土地でもアンパンマングッズが置いてあるような気がする。
それくらい、この顔面がパンというアヴァンギャルドなヒーローが市民権を得ているということなんだろう。入館は17時までということで、18時前だったこのときには、雨が降っていることもあってか人影は殆ど無かった。まあ営業時間内であっても入ることはないだろうが。

高知のやや高地(そこそこ山の中)にあるということで、雲がとても低い。トイレで用を足して、少し休憩して、再び高知市へ向かう。

19時前後に、ようやく市内に到着。ホテルにチェックインし、少し休憩したのちに、飲み屋街へ向かってホテルを出る。
この土地では、高知駅周辺よりも、南へ数百メートルあたりにある「はりまや橋」周辺のほうが、居酒屋や郷土料理屋やBARやスナックや風俗店がひしめいているので、当然ホテルもはりまや橋に近いところに押さえているわけである。
というわけで小雨の降る中を、傘をさしてとぼとぼ歩き、賑やかな飲食店の集中地をぐるぐる回った挙句、「早川」という、大衆的というよりはちょっと高級そうな郷土料理屋に決め、おもむろに入店。

とりあえず、高知の夜に乾杯。付きだしは、厚揚げとフキの煮物。

まずカツオのたたきを食べる。イメージ的には、高知だったらカツオのたたきはすごく安く食べれそうな感じがするが、けっこうそんなことはなくて、まあ普通に一皿¥800〜¥1,200くらいするのだ。今入ってるこの店に限らず、高知市内、大体どこの店でもそうだと思う。高いところは¥1,400とかも有った。
「じゃあ、わざわざ高知まで行く意味ないやん。」 とか思いがちだが、それは違う。
なぜなら、まずカツオ自体が、やはり地元で捕れるということで、揚がってから時間が少なく、臭みが全然ない。身の弾力が違う。俺でも判るのだから、味にうるさい人ならもっと如実に違いが実感できると思う。
そして、カツオが売りの県だけあって、カツオの食べ方のノウハウが完成されていると思う。
つまり、タタキにする時の火での炙り方だったり、ぶっかけられてるタレの調合だったり、ネギをどばどばと載せたり、生のにんにくがたっぷり添えられていたりという、食べ方のスタイルのこと。
同じカツオのタタキでも、この2点がぜんぜん違うので、やはりわざわざ高知まで来る甲斐はとてもあると思う。ちなみにこの店のタレは、最初口にしたとき酸味がとても強いんだが、噛むほどに現れるタレの甘みとカツオの旨みが、ともに交じりあってとても楽しい。おいしかった。

これは、高知名物のひとつであるクジラ。いわゆるホエールである。
「クジラのさえずり」という料理なんだが、さえずりっていうのは舌のことらしい。
人間っていうのは、何でも食う生き物なんだな。
少し甘めの酢味噌がかかっていて、刺身のような食感だったが、いささか臭みが強いように感じた。身はスジ肉のように、なかなか噛み切れない。さえずり自体の味も希薄だったので、あまり「ウヒョー!」とはならなかった。

ウツボのたたき。
ウツボってこういう奴で、とてもグロテスクなんだが、実はとても美味しいなかなかのナイスガイなのである。
身は白身魚のような食感で、全然臭みもなく、皮は炙られているので香ばしい。そしてその皮と身との間に、ゼラチン質な脂身のような部分があり、この部分が香り豊かで、噛み応えが楽しかった。これはおいしいですよ。

酒方面としては、2杯目に芋焼酎(銘柄は忘れた)を飲んで、3杯目に、写真の瀧嵐という高知のお酒。
醸造アルコールを添加させた生酒だったので、”すっきり”とか”良い香り”というのは感じず、そんなに美味しいとは思わなかった。ギリッとした刺激もあるし。
まあでもこの300ml瓶が、確か¥500くらいだった。安いな。

高知の酒のアテの定番(だと思う)、「どろめ」。イワシの稚魚というのがその正体。つるつるした食感は、前に静岡で食べた生シラスに近いが、ガシガシ噛んで味わうと、カルシウム的なじゃりじゃりした食感と、そしてけっこうな苦味を感じる。
ちなみに今回は食べなかったが、この”どろめ”とともに、高知でポピュラーな酒のアテとして”のれそれ”というのがある。雰囲気はこの”どろめ”に似ているんだが、前に食った記憶では、つるつるとした舌触りがトコロテンのような印象だったように思う。臭みもあまり無かった。
”のれそれ”はアナゴの稚魚らしい。

サバ刺し。光り物が嫌いな方には申し訳ないが、我ながらよく光った写真が撮れた。サバ特有の濃厚な香りが若干薄くて、「たぶん軽く〆てるのではないか?」という議論を連れと戦わせた。鹿児島で食べたサバ刺しのほうがウマかったな。でも地元とかではなかなか食べることが出来ないので、満足。

自家製汲み上げ豆腐

土佐天。
この土佐天の原料がメニュー表に書いてあったんだが、忘れた。香ばしさとほのかな甘みがしつこくなく、なかなか美味しかった。
これらを食べながら、最後に土佐鶴の純米吟醸をオーダー。「冷やにしますか?それとも熱燗で?」と訊かれたので、「冷やで。」と答えたが、しばし後に出てきたのは、徳利に入った常温のものだった。てっきり冷蔵庫で保管された温度のものが出てくると頭から決めつけてたんだが、冷や=常温ってのは、俺が認識できてなかっただけで、結構常識的なことだというのを後日知った。俺とか連れがいつも好んで飲む温度のものは、「冷酒」という括りになるらしい。
日ごろ結構酒飲んでるくせに、こんな常識的なことを知らないんだから、偉そうなことは言えないものだ。ちょっとしたカルチャーショックである。あるいはジェネレーションギャップかもしれない。
高知の酒場では、あまり「冷酒」のお品書きを見かけない。いや、あることはあるんだけど、あまり地元民には飲まれていないように感じる。冷やか燗で日本酒を飲むのが、この土地の文化のようだ。
ついでに言えば、純米酒や純米吟醸酒よりも、醸造アルコールが添加された本醸造のものなどが好まれているように感じた。酒の消費量が多い県なので、(どちらかといえば割安な)醸造アルコール添加酒のほうが財布にやさしいということもあるだろうが、その消費量に比例して培われた、”酒飲みの血筋” ”酒飲みの味覚”のようなものが、醸造アル添酒が持つ”飲み応え”を愛して止まなくしているのかな、と個人的に感じた。
飲み慣れてない”冷や”の酒で、結構酔いが加速したが、せっかくなのでバーを探す。1軒目を探すために歩き回っていた時に見つけた、BAR「CROPS」に入る。
10名前後が座れそうなL字型のカウンターと、テーブル席が数席の、まあまあ中バコなお店。なかなかピシッとした雰囲気で、結構お客さんが入っていたが、騒々しいこともなく、落ち着きがある。
先ずギムレットをオーダーする。連れはジントニック。最初入店したとき、男前な若い店員2人がカウンター内で働いていたんだが、ギムレットのオーダーにあわせてどこからか中年のバーテンダーが出てきて、カウンターの向こうのほうでギムレットを作り出す。
手際よくライムを搾り、シャカシャカとシェイクを終え、グラスに液体を注ぎきると、また再び奥に引っ込んでいった。そして男前店員が、そのギムレットが満たされたグラスをおそるおそるこちらに運んでくる。なんか効率悪くないか?
まあいろんな店があるんだから、いろんなスタイルがあっていけないこともないし、俺としては美味しいギムレットが飲めればそれに越したことはない。
で、肝心の味はというと、ライムやジンの刺激が少なくて、一瞬「水っぽいのかな?」と思わせるが、飲み込んだあとに確かな余韻のようなものが味わえる、なかなかおいしいギムレットだった。
この店のカウンター内(店員のスペース)の左奥手に大きな物々しい扉があり、店に入った時から気になっていたんだが、2杯目にスプリングバンクをオーダーして、その扉の正体が明らかになった。どうやら、バックバーに置ききれないウィスキーの保管庫になっているようだ。
開けられた扉の隙間から保管庫の中がちらりと窺えたが、結構な数のボトルが置かれているようである。実際、スプリングバンクをオーダーして、店員がその保管庫に入っていってから、30秒ほど出てこなかった。そんなに多いのかー!
…まあひょっとしたら、この店においてスプリングバンクはあまりオーダーされる銘柄じゃなくて、保管庫内のウィスキーの配置を、店員が覚えてなかったというだけかもしれないが。
最後にタリスカーを飲む。タリスカーは扉の中じゃなく、バックバーに置いてあったので、すぐ出てきた。
まったり落ち着いて飲むことが出来たが、酔いが結構回ったので、この3杯でお勘定を告げる。ちょっと豪華なおつまみが付いて、2人で5杯飲んで¥7,000でおつりが少し返ってきたと思う。
”日本酒の土地”というイメージが強い街だが、「良いBARもあるんだな」という発見に喜びながらホテルへ帰る。













